きっとサンタはやって来る。
「ねぇ、パパ。このお家には煙突が無いけど、サンタさんはちゃんと来れるの?」
クリスマスイブの夜、幼稚園の年中になる息子はそんな事を本気で心配している。
こいつ、本気でそんな事思ってるの?と、大人の事情でしか物事を考えられない私は、適当に「ベランダから来るから大丈夫だよ」と答える。
そりゃそうだ。 本人としてはベストな答えをしたつもりだ。
でも、子供にとってはそれが心配で心配で仕方が無かったらしく、ずっとベランダを見つめたままその場から離れない。
「パパ、サンタさん来るのに鍵は掛けていて大丈夫なの?」 「パパ、サンタさんは電気をつけていたら来ないの?」 「パパ、サンタさんはこっちの窓から来るの?あっちの窓から来るの?」
ぶっちゃけ、実に面倒臭い。 いい子に寝ててくれたらちゃんと来るから、 早く寝てくれ。
彼の監視のキツさに呆れながら、ただただ息子が寝てくれる事を祈りながらベランダを見つめる。
そして時は流れ、翌朝。
窓越しに置いたあったプレゼントを見つけ、彼は仮面ライダーに召喚した。
そんな9年前の思い出。
離れた息子も、またどこかで同じ空を眺めて居るのかな?